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【イソネルペトンの卵塊】

今月のグラス2Hオークションには、化硝研究所企画の【イソネルペトンの卵塊】も出品されています。

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【イソネルペトンの卵塊】

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化硝研での作品は、できあがった復元モデルが何気にデスクの上などに置かれているところを想像して製作しています。
展示台無しで転がしていたり、展示台にしっかり鎮座していたり、
いずれにしても、デスクの上をたまたま見た人が「これはいったいなんだろう?」と思うような不思議な存在感が理想。

あるはずのないもの、無限の想像の世界のもの。
それが実世界と交錯するのがおもしろくてたまりません。
ギャプス紀と名付けた時代がさもあるかのように(無いとは言えません)ある人は研究者、ある人は所蔵保存者、ある人はレポートを定期購読する読者として、皆でぐるになって、これらの研究成果を積み上げていけたら、すごく面白いなあと思っています。

気の長い楽しみですが、おつきあいよろしくお願いします。
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Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵塊
脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種

イソネルペトンは水場と陸の間に生息する生物です。
生態としては特に水の流れが強いところにいることが多く、尻尾を海草などに絡みつけて獲物が流れてくるのを大口をあけて待つというものでした。
産卵もそのような場所で行われるため、卵殻は丈夫で長端の一方についたカギ状の突起を水中の植物などにひっかけて、流されないようにしていました。
表面のぶつぶつは表皮の薄皮が盛り上がったもので、水の流れであちらこちらに叩きつけられても耐えうるクッションの役割と、景色にとけ込む迷彩的な役割をもっています。

卵の中の胚には、すでにこの種の特徴である巻いた尻尾とエラがみられます。

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少しづつ明らかになるギャプス紀の生物モデルを所蔵していただける方をお待ちします。
<---グラス2hオークション会場はコチラ

このオークションは終了しています。どうもありがとうございました
2023/08/20 17:40 Update

いそのん劇場【化硝研究所 未確認化石No.006を復元す】その2

3人の博士の考察と復元の記録
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Ichthyopompa checora (イクチオポンパ・チェコラ)
脊索動物門/ 肉鰭綱

イクチオポンパは、四肢動物の祖先、水辺で生活していた肉鰭類です。
四肢動物の祖先となった魚類らしく、頭部が現存の海の魚より上下につぶれています。
これは海を泳ぐ機能から陸上を移動する機能へと体型を変化させていったからでしょう。
とはいえ陸上ではまだまだ生活できないイクチオポンパには小さなヒレがあります。
ヒレの部分の関節を使って、水底にピタッと張り付いて水面から顔をだしたり、腕立て...どころか、頭に重心を移したり尾びれに重心を移したりすることもでき、浅瀬で自由に動き回ることができたようです。

学名のIchthyopompa checora (イクチオポンパ チェコラ)は、進化させた胸鰭で浅瀬を這う姿を「腕立て伏せ」にたとえたものです。。

学名の意味: ichthys(魚)+ pompa(腕立て伏せ)
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(付属する標本ラベル)


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Tetrapelta sphaera(テトラペルタ・スファエラ)
軟体動物門/多板綱/詳細不明

テトラペルタ・スファエラはギャプス紀の浅海に生息していた多板綱の軟体動物。
ヒザラガイ類に近縁の生物で、丸みのある4枚の殻と比較的発達した一対の眼を持っていたようです。
体を丸めてダンゴムシのような方法で身を守るという貝類としては珍しい防御方法を持っていました(化石は防御態勢のもの)。
殻は厚みがありますがコウイカの甲のような軽量構造になっていて、普段は何体部を広げて海底付近を活発に遊泳していたと思われます。
防御態勢時からは想像できないほど大きな何体部をもっているように見えますが、これは体内の空隙に吸い込んだ海水を満たすことによって体型を維持する水風船のような仕組みを持っていたためです。

学名の意味:tetra(4つの)+ pelta(楯)+ sphaera(球体)
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(付属する標本ラベル)


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Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵塊
脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種

イソネルペトンは水場と陸の間に生息する生物です。
生態としては特に水の流れが強いところにいることが多く、尻尾を海草などに絡みつけて獲物が流れてくるのを大口をあけて待つというものでした。
産卵もそのような場所で行われるため、卵殻は丈夫で長端の一方についたカギ状の突起を水中の植物などにひっかけて、流されないようにしていました。
表面のぶつぶつは表皮の薄皮が盛り上がったもので、水の流れであちらこちらに叩きつけられても耐えうるクッションの役割と、景色にとけ込む迷彩的な役割をもっています。

卵の中の胚には、すでにこの種の特徴である巻いた尻尾とエラがみられます。
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(付属する標本ラベル)

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この3種4作品は今月のグラス2Hオークション(7/22土開催)に出品されます。
少しづつ明らかになるギャプス紀の生物モデルを所蔵していただける方をお待ちします。

2023/08/20 17:32 Update

イソネルペトンの卵塊

化硝研究所からやってきた第6の謎の化石は、とても難解なものでした。

難しいというのはとても面白いことでもあります。
アンモ所長に提出した礒野の答えをみなさまにもご報告します。
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これは、脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵かいではないかと思われます。
イソネルぺトンは、UF003で復元した両生類です
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今からお見せするのは、ガラスで復元した卵塊の様子です。

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外側の卵殻を復元したものです

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ここにある表面のブツブツは、硬い殻と別の表皮の薄皮が盛り上がったもので、クッションの役割と景色にとけ込む保護色の役割をもっています。

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反対面は卵殻を除いて、内部が見える状態の復元です。

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丈夫な殻の内部には、すでに幼体のかたちにまで成長した赤ちゃんが3匹見えます。
幼体には赤いエラができはじめています。

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赤ちゃんのまわりには寒天状の物質ともやもやしたものがみてとれます。

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長端の一方についたカギ状の突起は、卵塊が水流に流されないようにする為のものです。
これを水中の植物などにひっかけ、固着させて安定させていました。

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コチラが復元のもとになった化石です。
矢印の先にある小さな丸い断面が、この突起の存在を示唆しています。

今回復元を担当したこの卵塊の卵殻は、化石として形を残すほど丈夫なものだったと思われます。
そのことから時によっては過酷すぎる時期を、この卵塊のままで休眠することによって乗り越えたこともあったかとおもわれます。

これがこの生物のペルム紀の大絶滅を乗り越えてギャプス紀でその繁栄を謳歌することになった理由のひとつではないでしょうか。

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(復元モデルとして、展示スタンドにセットした状態)

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このガラスによる復元モデルは今月(6/22)に1点、来月1点、グラス2Hオークションで販売いたします。
このオークションは終了しました

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参考までに以前復元したイソネルペトンの成体についての情報をここに付記します。

化硝研究所第三の謎の化石の復元モデル
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脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン)

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水場と陸の間に生息
。
水の流れが強い所で、尻尾を海草などに絡みつけ大口を開けて食べ物が入って来るのを待っている。

目の部分は、水圧に耐えられるように円盤状に配置された骨がある。

尻尾は特徴的で、甲冑のように硬く保護された外皮に包まれながらも自由に曲げ伸ばしができるようになっている。
2023/07/18 0:04 Update

博物学と宝物

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グラス2Hが終わり、コウイカさんも、プクプクたちも、新しい持ち主さんのところへ届きはじめました。

【エキーヌス ペンタゴニューム プクプク】つまりプクプクは、いかにも博物標本らしい展示台とラベルが付属して旅だっていきました。
これら化硝研究所の博士として生み出された作品は、いかにもいわくありげに、だれかのデスクの上を飾ることになるでしょう。

化硝研究所の仕事をしていて思い出すのは
2017年に上野の国立科学博物館の特別展で開催された
「大英自然史博物館展〜Treasures〜」
これがとても私にはツボでした。
英語で紹介されていたこの企画のタイトルは【大英自然史博物館の宝物展】
ロンドンの大英自然史博物館にある宝物が会場にならべられていたのです。
手元にはその時に購入した本
【TREASURES of the Natural History Museum】(自然史博物館の宝物)
があって、その中でとりあげられているのはある種の人にとっての宝物たち。

ある種の人ってだれ?
博物学者?分類学者?あなた?わたし?


山高帽の中につくられたスズメバチの巣
猫のミイラ
三葉虫の化石を使った金のブローチ
カッコーの卵と托卵された鳥たちの卵の殻のコレクションを額装したもの
1811年にはじめてみつかったイクチオサウルスの化石(発見者はイギリスの女性)
ガラスで出来たイカやタコの生物標本(ブラシュカ親子の作品)
宝石を含有した石や鉱物や虫を封じ込めたコハク
ある有名な科学者によってイグアノドンの実物大モデルをおひろめしたイベント(1853年の大晦日のロンドン)のパンフ(レストランのメニューのような体裁をとった面白いもの)
ボタニカルアートと言われる各種の植物画、地質地図
世にも不思議な形をしたカタツムリの殻

そして、私が大好きなグリプトドン(絶滅したでっかいアルマジロ)の骨格


訪ねて来た人の目の端にとまった時
「え?これはいったい何?」とあらためてまじまじと見させてしまう・・・
なんだか面白いけれど・・・なんだかきれいだけれど・・・
そんな不思議なたからもの。

化硝研究所で製作した作品はこれらとおなじ世界にある。
そういうビジョンの作品たちなのです。

次のチャレンジは来年???
それではアンモ所長の依頼をまた楽しみにまつことにします。
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ただ今礒野はみなさまに年末に楽しんでもらう作品を準備中です
2022/01/21 12:09 Update

今月のグラス2hが終わりました。

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ご参加のみなさま
見守ってくださったみなさま
どうもありがとうございました。

しっぽちゃんとカエルさんは絹の寝袋に入って。
そしていつものいそのの落書き紙袋の包装付きで。

そして化硝研の【イソネルペトン】は・・・
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こんな箱に入って旅だっていきました。

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これがセット内容(箱の蓋は裏返すとイソネルペトンの展示スタンドに)

さあて次回の化硝研のリサーチは?????
研究員のレポートが積み重なると、すこしづつギャプス紀が見えてくるはず。
2022/01/27 15:59 Update
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