とんぼ玉作家 礒野昭子(いそのあきこ)のホームページ

グリプトドン再び

稀モノ企画として、一年半前に精魂こめてチャレンジした作品 [グリプトドン] のことを皆様ご存知でしょうか?
結末からいうと、もう少しのところで失敗した企画でした。

(詳しくは 「グリプトドンを創る」 を参照してください。)

[グリプトドン]、失敗から一年半経って、いまだ、とても魅力的な構想だと思うのです。

一年前は失敗したものの、でもそれは「道なかば」ということ。
こんどこそやりきると覚悟を決めて [グリプトドン]、もう一度チャレンジしてみることにしました。

制作

前回の失敗の原因をもう一度再確認して、今度はより論理的な順番で作業を進めることにします。

グリプトドンの玉は大きいのです。
ピンポン球のサイズってこれくらいかな?
時間もかかるし、巻き取り棒の持っているところも熱く熱くなります。
最後まで集中力を保たないと、失敗してしまいます。

火に向かい作業が進むにつれて、巻き取り棒に熱が伝わってきます。
細工が進むにつれ、作品は大きくなり、そしてどんどん重くなってきます。
疲れても、熱くても、集中を切らしてはいけません。
前回はそこが敗因のひとつだったのを忘れてはいけません。
そうして最後にじっくりと炎をつかってひずみを取り、愛用の藁灰はふかふかになるように穴を掘って、そおっとグリちゃんを埋めてやります。

今回もワクワクドキドキです。

さて、前回は内部に双葉の生えた惑星と、緑の植物を入れました。
今回は、惑星を地球にして(地球から双葉が生えてます)、黒っぽい根っことそこから生えたもので構成しました。

グリちゃん自身はねむそうでかわいい。

さて、明くる日ですが、グリプトドンの甲羅用につくったパーツがあと一体分ほど残っています。
さあ、これは考えどころです。
今、あと一匹だけ、段取りのイメージが体に残っているあいだにつくるべきか?
一匹つくるだけでも決心のいる作品なのに、どうしましょう?

悩んだ末に、ここはいっちょ頑張ることに決めました。
気力がもたなくなったら、その時はその時です。

完成! 2匹のぐりちゃん

こういうサイズで、こんな子を創ることはもうないでしょうから、
1匹は自分の子として手元に残しておくことにしました。

そしてより出来の良いと思われる1匹をどなたかの元へ、グラス2Hオークションを介して旅立たせたいとおもいます。

グリちゃんはこんな子

グリちゃんとはグリプトドン。
もう絶滅してしまった生き物です。
3mほどの大きさにもなったらしい。

この奇妙な生き物に対する憧れと、くぅーくぅー油断して寝ている生き物を見た時の愛おしさが、この作品のテーマなのです。

甲羅の中には奇妙な植物と、双葉の生えた地球をセット。

光を入れる向きと場所で、こんなに違う雰囲気に。

甲羅側の窓から照らしてグリちゃんをみたらこんなふう。

例えば40gのステガちゃんと大きさを比べると、96gのグリちゃんはこんな大きさ。

手の上に乗せてみたらこんなかんじ。 握っても、手のひらの中には隠れない大きさ。

表面は銀箔を焼き付けているので、可愛いけど渋い、渋いけど可愛い。
そんなグリちゃん、どなたの宝物になるのでしょうか。

Copyright (C) Akiko Isono 2004