とんぼ玉作家 礒野昭子(いそのあきこ)のホームページ

ウォータードラゴンの日々

はじまりはじまり

ほら見て見て!僕の大好きなたからものなの。

真水の世界のシンボルとしての蛙さんが、クラゲの泳ぐ海水の世界を抱いて
まるで私達の居る水の星のような一つの世界を形づくっているのです。

とんぼ玉の作品タイトルは「蛙、海のカケラを抱く」

第2話

のそりのそり

へびいちごは地面を這ってもそりもそりと伸びていきます。
ステガちゃんはその上をぴたりびたり。
僕は真似してのそりのそり。

赤い実に黄色いお花のヘビイチゴは、お日様の下で地面を這って伸びるバラ科の植物です。
そこにピタリと張り付いているのは、浅い水の中から陸にあがってきた両生類のステガちゃんです。
どこでどうやって暮らしていくか
ステガちゃんにとってもヘビイチゴにとってもそれは生きていく上で重要な選択なのです。

とんぼ玉の作品タイトルは「陸に上がって」(進化のおはなしのシリーズより)

第3話

お食事する?

いっしょにご飯食べる?
君の分もあるから、背中のお弁当はとっときなよ。

この蛙さんが背中に連れているのは彼のお弁当。
困った時まで取っておこうと、食べないで連れて歩いてます。
そんな日が長くつづくと、いつの間にか二人は友達に。
抱えた玉の中には、まるっこいお花に根っこがもじゃもじゃ。
それに小さな双葉が沢山生え出てきているのです。

とんぼ玉の作品タイトルは「お弁当連れて」

第4話

お日様ぽかぽか 仲良くごろりん

いいお天気、風も吹いてる。
僕の胞子も君の胞子も飛んでいきそうだよ。

コウイカさんの中で冬虫夏草がにょきにょきのびて、もうすぐ胞子をとばそうとしています。
その根元では子実体になった粘菌が、これもまた胞子をだすのでしょう。
コウイカさんはそれ自身が一つの生命体なのだけれど
それと同時に内側に棲む小さな生き物たちにとっての宇宙船であったりします。
コウイカさんが生きることは世界を護ることになります。
それはなんとなくシアワセな風景なのです。

とんぼ玉の作品タイトルは「菌糸の森のコウイカさん」

第5話

宝箱の中

いくつあるかな?
どんなのあるかな?
今日も覗こう、宝箱の中。
これも好きだし、あれも好きだし。

小さくて原始的で可愛くて、扇子に、しおりに、袋物など、身の回りのモノにポチッとつける
”そんな玉が欲しいな”とそう思ってつくりました。
きめの細かい艶消ししあげは、使い込むと光ってきます。

第6話

僕とのんびりみつめあおうよ。

みつめあうと優しい気持ちがあふれちゃう。
どんどん気持ちが良くなって、僕も海になっちゃうよ。

海の色の蛙さんの抱えるのは、水深3mの海の世界。
石灰藻が付いてところどころ白くなった岩場は、小さな生き物の住処になっています。
ゆらゆらゆれるような水の中には、生き物の出す小さな小さなあぶくや
ふうわり漂うクラゲがいて、光を通すと、とても気持ちが良いのです。

とんぼ玉作品のタイトルは「蛙、海のカケラを抱く」

第7話

まあるいお月さまで照らしてあげる。

じっと見てるから
まあるいお月さまで照らしてあげるから
沢山の子供達を空に放っておくれよ。

岩に阻まれても仲間の珊瑚に阻まれても、倦む事なく黙々と育った珊瑚。
満月の夜にいっせいに産卵するといいます。
この淡々と繰り返しの続く作品は、光に透かすと異なった色を現します(写真上記右)。

とんぼ玉作品のタイトルは「珊瑚の産卵」礒野と相棒サバヲの共同作品です。

第8話

さあ、飛ぶ練習の時間だよ。

さあ、飛ぶ練習の時間だよ。
高いところに登って、飛び立つ構えで、 ちょっとどきどき、なんだかワクワク。

地上に上がって来たステガちゃんですが、今度はお空に行きたくなって、にゅいっと羽をはやしました。
だけど、羽はとってもちいちゃくあんまり遠くへは飛べません。
まだ 桜の花の付いた枝のあたりまでが、せいいいっぱいなのです。
第2話に登場した「陸にあがって」のヘビイチゴはバラ科
このステガちゃんがしがみついている桜もバラ科。
同じバラ科でも遺伝情報の一部がどこか違って
その結果こんなに違う植物に育つのは不思議な感じがします。

とんぼ玉作品のタイトルは「桜の花まで飛べました」(進化のおはなしのシリーズより)

第9話

孵れよ孵れタマゴさん

あの子もこの子も出ておいで。
まだまだ嫌なら寝ておいで。
ヒカリを溜めて元気いっぱい
いつかオモテに出ておいで。

生まれて来るのはドラゴンの赤ちゃん?恐竜の子? それともカラフルな鳥さんのヒナなんでしょうか?
どんな子が生まれてくるのかわからない、誰も見た事のない卵たちです。

とんぼ玉作品のタイトルは「卵」礒野と相棒サバヲの共同作品です。

第10話

みーつけた

君の隠れ場所、僕は知ってる。
岩の間が好きなんだろ?
みつけちゃったから、次は僕が隠れる番だよ。

この蛸さんが白いのは少し警戒しているからなのです。
なぜなら身体の下に卵塊を抱えているからなのです。

蛸さんの卵やクラゲがただよう海の部分は、小さなライトを使って暗い場所で見ると
光を入れる角度によって、透明になったり浅葱色になったり瑠璃色になったりします。

とんぼ玉作品のタイトルは「八月の蛸」

第11話

大きな岩になって

君といると昔々のおはなしが心のなかに響いてくるよ。
そして僕は大きな岩になって君を包みたくなるよ。

恐竜の時代よりずっとずっと昔、浅い海や深い海の至る所に沢山の種類が存在したという三葉虫。
この奇妙な姿の子は、そんな三葉虫のくるっと丸まった防御態勢の化石をかたどったものです。

手触りも楽しみの一つであるこの作品には、岩穴をイメージした透明な部分があり
そこを覗くと蜂の巣やヒドラのようなものが、ごちゃごちゃと謎の世界を形成しています。

とんぼ玉作品のタイトルは「大地の記憶」

第12話

こんなところにいいものが

海岸でみつけた。
こんないいもの見つけた。
潮が満ちるとここは海の中
お気に入りを集めておうちに帰ろう。

シーグラスとは、海岸で風にさらされ波にもまれるうちに角がとれて艶消しになったガラス片のことです。
枯れた風情と光を溜めるような不思議な表情が魅力的です。
サンドブラストでしあげたこの作品はそんなシーグラスをモチーフにしてつくりました。
模様の十字は「クロス」ではなく「プラス」。 前向きに明るくポジティブに、という意味合いです。

とんぼ玉作品のタイトルは「シーグラス」

第13話

タンタカ タカタン テンテケテン

タンタカ タカタン テンテケテン
テンテケ テケテン トントコトン
いいお天気だ テンテケテン
朝から晩まで トントコトン

小粒であっても大胆で力強いものが好きで、時々手がけているシリーズですが
今回は、まるで太鼓の演奏を絵にしたような、リズムのある作品になりました。

とんぼ玉作品のタイトルはまだ未定です。
良いタイトルが思いついたら名付けようと思っています。

第14話

密林でおしゃべり

密林の中で君とおしゃべり
僕の自慢のキノコのおはなし
君は3本、僕は1本
こんなに大きく伸ばしてみたよ。

第4話で登場のコウイカさんの仲間で、こちらはヤリイカさん。
エンペラの形状も違うのですが、目も違います。
内部で成長しているのはコウイカさんと同じく粘菌の子実体と寄生キノコの虫草で
わさわさと命みなぎる世界なのです。

とんぼ玉作品のタイトルは「菌糸の森のヤリイカさん」

第15話

おでかけまえの訓示

みんな用意はできたかい?
もうすぐ揃って旅に出る
心構えはできたかい?

(これまでの14話の間に登場して来た宝物たち全員集合です。)

おまけ

第1話で登場の蛙さんの色違いの仲間です。

作品のタイトルは「蛙、海のカケラを抱く」

第10話で登場の蛸さんの仲間で色違い、この子はアイボリーです。
細かいところも少しずつ違います。

作品のタイトルは「八月の蛸」

第3話で登場の蛙さんの同類ですが色違いです。
持ってるお花も違う色です。
この子も甲虫のお弁当を連れていて、まだ食べていません。

作品のタイトルは「お弁当連れて」

第8話で登場のステガちゃんの色違いの仲間です。
やっぱり太り気味で飛ぶのがたいへんそうです。

作品のタイトルは「桜の花まで飛べました」

番外編