陽射しが柔らかくなった。
海の水も少しづつ冷たくなる。
私は大事に海と子供たちを抱きかかえ、お日様を横切って雲が過ぎていくのを眺めている。
そろそろ大好きな海のシーズンが終わります。
今年は地元の海で何匹もの蛸に出逢いました。
この夏は海岸沿いの道が天候による通行止めになっていたことも関係あるのか、例年になく海中は豊かな様子でした。
海で蛸に逢うと、私はついついちょっかいを出します。
握手したり、だっこしたりすると、怒って色を変えたり、どういうつもりか踊ってみせたり。
泳ぐ後ろからついていくと、ちょくちょく見事な変身術を目撃します。
着地と同時に色もカタチも質感も一瞬で魔法のように変えて、もちろん仕草も微妙に変えるのです。
もうそうなったら一瞬目をはなすと、見失ってしまいます。
自分と同じほ乳類以外の生き物で一番意思疎通ができそうなのはきっと蛸さん。
私は子供の頃からそう思い続けています。
(2018年 10月)