とんぼ玉作家 礒野昭子(いそのあきこ)のホームページ

大地の記憶

僕は三葉虫。遠いむかしにいなくなった生物。
僕が乗っているのはアンモナイト。
はるかむかしにいなくなった生物。
化石の姿が残っていなければ、 僕たちがこの世に居たことは、 きっとだれにもわからなかったさ。

状態のいい化石は、天才が生み出した美しい石の彫刻作品のようです。
古生物学的知識がなくても、それがみごとだということは、見ればわかります。
ガラスで三葉虫の作品をつくるとき、形の美しさでは化石の魅力に勝てないことはわかっています。
でも「化石にはありえない何か」を加えることで、このガラスの塊は作品としての力を持つ、私はそんなふうに思っています。
「化石にはありえない何か」とはガラスならではの透明部分とその中にあるもの。
そして手の中で転がすときに感じる全体の重さや手触りの心地よさ。
それを演出するのが、私の誇り。

(2022年 10月)