「ふむふむ、ふむふむ、良い土じゃ
キノコが元気に生えておる」
そうつぶやくのは、ぽこっと生えたキノコのわきに、ぼこっと出てきた土神さま。
あたりに漂うのは分解しかけの落ち葉の香り。
落ち葉の中にはちいさな虫たち。
土の中では去年の根っこが白い菌糸をまとって、まもなく朽ちていくところ。
人に習うのが苦手な私は、土神さまたちのやってることを見ながら、あーだこーだといろいろ試しています。
土をいじりながら想像するのは見えない地中の世界のこと。
ふわふわの土の中の菌糸をまとった根っこが、ゆっくり朽ちたあとには小さな空洞が無数にできて、それが地面をもっとふわふわにするのかもしれない。(ちがうかもしれないけど・・)
地面の中のトンネルに棲んでいる子たちには、世界はどんなふうになってるんだろ。
無頓着に歩くこの土の中の、菌やトビムシや芋虫やトカゲやネズミやモグラたちのことを考えるのは、海に居るのとおんなじくらいおもしろい。
(2024年 10月)