とんぼ玉作家 礒野昭子(いそのあきこ)のホームページ

すくいあげてカタチになった

私は腕を長くして、波のくだけるその先の海をすくいあげた。
すくいあげた海はカタチを変えて、指の間からザァザァこぼれてしまいそうになるから、 私は水にカタチをあたえる魔法をかけた。

岩だらけの海岸の、外海から冷たい水が流れ込んで波になって割れるようなところは、洗濯機のように水がうねって海中には小さな泡がいっぱい。
サイダーのようになった水の中で、共に波にもまれる私と小さな魚たち。
上へ下へ右へ左へ、一緒になってふりまわされながら、楽しくて楽しくて、あははと笑う口に水がはいってきます。
それがまたおかしくて私はまたつい笑ってしまいます。
海からやってきた宝物に囲まれて、頭によぎるのは楽しい海中の思い出のひとつ。

(2024年 8月)