いそのん劇場【三葉虫化石と「大地の記憶」】

今月8日にやまのパンダ屋で開催された毎月一日だけの礒野お手製の展覧会「いそのん劇場」の様子をご紹介します。
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【三葉虫化石と「大地の記憶」】

みなさんは化石というものに疑問をもったことはありませんか?

博物館などに行くと、海岸に落ちている古くてモロモロになった貝殻とそっくりなものが化石と書かれて展示されています。

中世代の恐竜の歯とか新生代の哺乳類の骨も化石として展示されていますが、これはお亡くなりになった動物の牙や骨に見えます。

一方で水晶の結晶が詰まったアンモナイトの殻や、オパール化したアンモナイトがあります。
金属になっているものもあります。
これらはなかなか美しい。
宝石のようにちょっと欲しくなります。

押し花になったみたいなウミユリや始祖鳥の化石。
これは石膏型で何かを型取りしてつくったレリーフみたいです。

素材も違う、形状も違う、いろいろある化石というものの本質はいったいなんだろう?

興味はあるものの、化石と遺骸の境界線に疑問をもちつつ、美しいものではないと思っていた時に出会ったのが三葉虫の化石。

立体的で、全体が見てとれて、細かいところまで残っていて、なんて美しい。
そのリアルさが恐竜の時代よりずっと昔に繁栄した生き物の存在を、より現実的に感じさせてくれる。

それは今につながる感動の体験でした。

そのうえ、ダンゴムシのようにくるっとまるくなっていたり、芋虫のように身体をくの字に曲げていたりするものだから。
虫好きの身としては美しくてキュートで謎がいっぱいで、玉好きの身としてはどんな彫刻家のつくる玉より精緻で美しくて。

三葉虫化石をテーマにした作品を創ったのは、そんな感動をいつも自分自身の手元に欲しい、さらに化石と違う、この世に無いものが欲しいという気持ちから。
そうして出来上がったのが【大地の記憶】

本日のいそのん劇場では、私が宝物にしている【大地の記憶】をご覧いただきます。
欲張りな礒野が作品に加えたのは、ガラスならではの透明部分とその中にあるもの。
光をとおした時の楽しみ。
そして手の中で転がすときに感じる全体の重さやブツブツやでこぼこやザラザラした手触りの心地よさ。

会場では作品のほかにも、私の大好きな三葉虫化石たちを展示しています。
そこに添えた文章はいわば私の頭の中。
創り手の頭を覗くつもりで、添えた文章も楽しんでくださいませ

2023年10月 礒野昭子
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『大好きな三葉虫化石たち』
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これは「遺骸」ではありません

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これは大昔に生きていた生き物の姿かたちをうつしとった石

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これは大地が自分自身に記録した「太古の記憶」
三葉虫と名付けられたいきもの。

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どんな天才彫刻家の仕事より精密で独創的で美しいと思う。

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この目の小さなレンズの集合の美しいこと!

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こんにちは 出会えたね

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こんにちは 嬉しいね

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これがみつかるのはカンブリア紀やオルドビス紀と名づけられた大昔の地層が、長い時間をかけて、地中に沈み、傾き、また隆起して、たまたま地上にでたところ

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ほんとは、私たちの足元深くにも、たくさんの記録がのこっているかもしれない

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おどろくほどたくさんの種類がいた可能性がある。

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おどろくほど多様な生き方をしていた可能性がある。

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『作品【大地の記憶】』
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頭の兜の部分と尾板が丸くなるときにぴったりとあわさる変わり種、
イソテルスという三葉虫をイメージしたもの。
安定した塊状なのが気持ちいい。

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初期に数点創った透明タイプのひとつ。

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透明から石らしい不透明になったころの作品。
こぶりながら内部に透明部分があっていろいろなモチーフが入っている。
形と肌がうつくしいのが自慢

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【大地の記憶】を手がける以前に三葉虫を創ったもの。
これは石でなく、生きている想像上のイメージ
三葉虫の乗っている玉は浅い砂地の海

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頭部の兜部分に尾板を巻き込んだようなファコプス状の子。
カタチは大きくて、ブツブツでザラザラ。
岩穴にみたてた透明部分に蜂の巣がいくつも巣くっている。
光の角度で、空間が蜜色に見えたりする。
私の宝物中のもっとも宝物のひとつ。

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会場風景
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オマケ
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アンモナイトにもイカのような、タコのような姿形が殻と一緒に立体で残っていたら、どんなに素敵だろう?と思うのです
2023/10/09 21:49 Update

10月8日はパンダ屋さん開催日です

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今週末の10月8日(日)は和歌山県海南市にある「やまのパンダ屋さん」の開催日です。

急激に秋ですね。
もう彼岸花もほぼおわりまして、今はアサギマダラがフジバカマにやってくるのを今か今かと待っている日々です。
アサギマダラというのは、渡り鳥のように長距離を旅する蝶です。
アゲハチョウと同じくらいの大きさですが、ふわりふわりと夢のような飛び方をします。
寒くなってくると日本の北の方から(信州とか?)上空を南に下っていき、和歌山あたりで合流して大陸の方へわたるという噂も聞いています。

我が家には例年何匹ものアサギマダラが立ち寄ってくれるので、運がよければパンダ屋さんの日に会えるかも

さて、そんなパンダ屋さんの今月は?

いそのん劇場は、こんなふうにしたいというアイデアはあるものの、その方法にまだ悩み中です。

ヒメコウゾの木がぴょいぴょいと枝を伸ばすのを切りたいので、それを使ってのちっちゃいワークショップも考えています。

サバヲ劇場の今月の「だあれ?」はなんでしょね。
実は私も知りません。
なので楽しみにしています。
前日あたりに更新されるサバヲのパンダ屋ブログをチェックすれば、その姿を前もってみることができるはずです。
こちらは11時半ごろに母屋のサバヲ劇場のコーナーで展示と販売の予定です。

ただいま開催中の、うさかなさんのお豆ちゃんプレゼントをかけた「豆豆ルーレット」ゲーム(Co展サイト内 http://coten.wcs.jp)の真っ最中ですから、その話題でも盛り上がりそうです。

それではみなさま、第二日曜日、やまのパンダ屋さんでおまちしています。
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やまのパンダ屋さんへのご来訪には前日までに事前連絡をいただいております。
注:お越しの方は必ず事前にご連絡ください。

ご連絡方法や詳しいご案内はコチラ
「やまのパンダ屋さんのご案内」・・・http://www.iso.cx/kero/0672

オープンは11時、クローズは17時。

海南駅までのお迎えは
10:35 と 14:05 です。
どちらかでリクエストいただければ、お迎えにあがります。
2023/12/06 13:40 Update

2018年制作の【おでぶのステがちゃん(生まれたて)】

今月のグラス2Hオークションにはコレクターさんから【おはよう】と【おでぶのステガちゃん(生まれたて)】が出品されています。
ここでは【おでぶのステガちゃん(生まれたて)】をご紹介します。
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【おでぶのステガちゃん(生まれたて)】
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2018年の6月、弘法さんに連れて行く前に撮影したものです。

これは殻を破って生まれてきたステガちゃん(設定はデボン紀ごろに陸へあがってきた両生類)が、大好きなお花を抱きかかえているところです。
身体に卵のかけらをつけたままなのは、この子がおっちょこちょいなのか、あわてんぼうなのか、それとも食いしん坊だからなのか。
ステガちゃん、きれいに殻を脱ぐよりさきに、蜜も花もおいしそうなお花をみつけてがまんできなかったのかもしれません。

このステガちゃんのシリーズは、進化について考えるというのがメインテーマですが、
この【生まれたて】や【おはよう】は番外編。
こむずかしいことは無しで、身の回りにこんな子がうろうろしていたらいいなあと思うのです。

出かけるときは、身につけたり、ポケットに入れたりして連れ歩くのも楽しい作品です。
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グラス2Hオークションは22日(金)
前日の深夜0時を過ぎたらスタートします。
このオークションは終了しました

参加するも良し、見学するも良し、それぞれのやり方で楽しんでいただければと思います。

グラス2Hオークション・・・https://2h.wcs.jp

2023/10/16 11:45 Update

2013年?制作の【おはよう】

今月のグラス2Hオークションにはコレクターさんから【おはよう】と【おでぶのステガちゃん(生まれたて)】が出品されています。
ここでは【おはよう】をご紹介します。
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【おはよう】
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残念ながら、制作当時に撮った写真がなかったのでお絵描きの挿絵でご紹介です。

我が家には、ヤモリの卵があちこちにあります。
でもまだ一度も孵化の瞬間にであったことがありません。
赤ちゃんが卵の中で少しつづ大きくなって、ある日卵の殻を割って出てくる。
その瞬間は絶対にかわいい。
気がつくのは、どんなに早くても卵から出てポトっと落ちてきたとき。
憧れるのは卵の殻から顔を出した瞬間に出会うこと。

この【おはよう】という作品は、そんな憧れの瞬間を形にしようと創ったもの。
生まれてくる赤ちゃんは代表作のひとつである【進化のシリーズ】のステガちゃん。

今回2hに出ている個体については、間違いなく私の制作なのですが、なかなか制作年がはっきりしませんでした。
結論としてはオーナーさんの記憶と記録と礒野の記憶と記録を重ねて推察するに2015年より前、おそらく2013年の作だと思われます。
もしかしたら2014年か2015年初頭かもしれません。

連れ歩き袋の「繭」は手紡ぎで羊毛から制作したもの。
紐は京都の江戸打ち細手の絹組紐です。
黒い方の袋は着物地を使ってあみあみコリツさんが作ってくれているもので、こちらも作品を収納したり、座布団がわりに作品をかざるのにつかったり、いろいろつかえるすぐれものです。

余談ですが、この【おはよう】をきっかけに、後日【卵】【生まれる】【生まれたて】を制作して【桜の花まで飛べました!】までのステガちゃんの一生が作品になっています。

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グラス2Hオークションは22日(金)
前日の深夜0時を過ぎたらスタートします。
このオークションは終了しました

参加するも良し、見学するも良し、それぞれのやり方で楽しんでいただければと思います。

グラス2Hオークション・・・https://2h.wcs.jp

2023/10/16 11:46 Update

【ウミノモト】の生き物たち

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【ウミノモト】は小型のクジラ、ハナゴンドウの形をした海の塊です。

海は命のスープ、命のるつぼ。
この海の塊にもたくさんのいきものがいます。

水面近くを泳ぐ魚の群れは、ハタンポという魚からヒントを得たもの。
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ハタンポたちの群れには岸に近い、でも外海の新鮮な水が打ち寄せる岩礁のかげで出会います。
近づくと、群れは2つ3つに割れて、また合流してと、遠くに逃げることもなく共にすごしてくれます。
私が出会う昼間は群れて過ごす彼らですが、夜になるとそれぞれに動物プランクトンを食べにでかけるのだそうです。

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何層にも重なった骨格を見せているのはサンゴの仲間。
そしてポリプを咲かせているのは、サンゴの仲間やイソギンチャクの仲間。
どちらも体内にいる褐虫藻と共生していて、光をご飯にしています。

こちらはスナギンチャクの仲間
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尻尾の近くにあって、光を通すときれいです。
これもまた褐虫藻と共生しているらしいです。
私が目にするいきものは光の届くところのものなので、光をご飯にしていることが多いようです。
かなりきつい毒があるらしいのですが、私はまだやられたことはありません。

光をご飯にしているのは、チャツボボヤもしかりです。
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腹面の海底にいるのはチャツボボヤをヒントにしたホヤの仲間

ホヤの多くはプランクトンやデトリタスを食べて生きています。
でも、チャツボボヤは緑藻と共生していて、光合成でできたエネルギーも生きるために使っています。
だから浅いとこに棲んでいて、体は緑色。

そのそばにいるのはクモヒトデ。
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クモヒトデはデトリタスを食べます。
(注:デトリタスとは?生物の死骸や排泄物が分解されてチリになったものです。)
水面のデトリタスを毛の生えたような腕でつかまえて食べる海のお掃除屋さんです。
この【ウミノモト】には、まるまる1匹のクモヒトデと別に、珊瑚の間から2本の腕が水中をさぐるように出ています。
珊瑚や岩の下にまだまだ何匹ものクモヒトデがきっと隠れている。
2本の腕がまだ隠れているクモヒトデがいるのをほのめかしています。

海面に見える白い泡は、波が割れたあとにできるもの。
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この中にもたくさんのデトリタスがまざっていて、みんなのご飯になったりします。

イソギンチャクやサンゴが着床している海底に白っぽいところが多いのは石灰藻のしわざ。
石灰藻のたくさんあるところには、ほかの生き物もたくさん棲んでいたりします。
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この海の中には、海底にひっついて生きるもの、水中をおよぐもの、ただようものがいます。
そして、ただようものをかきあつめるもの、追いかけてつかまえるもの、光合成するもの、がいます。
【ウミノモト】をまじまじとみつめても、棲んでいるすべてのものの正体をわかることはできませんし、全部を見てとることすらできないかもしれません。
その感覚は実際の海で私が経験するものと同じ。
感じる気持ちよさは自分が海中で感じる気持ちよさそのものです。
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2023/10/18 22:45 Update
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