この間、梅雨の雨の合間に、でんでんむしをみつけた。
あれ?何してる?
でんでんむしは、殻のふちを、もぐもぐぺろぺろ丹念にお掃除。
知らなかった、そんなしぐさをするなんて。
猫が身体をなめるみたいだ。
この間、草の上で、でんでんむしをみつけた。
草から草へ渡る姿はまるでアクロバット。
次の葉っぱに届かなければ、ぐっーっと身体を細くのばして、次の葉っぱをつかまえる。
頭はあっち、しっぽはこっち、あっちとこっちは離れてる。
そこを自分の身体を渡り板のようにして殻を移動していく。
あら、おみごと。
ぐーっと伸びてもとどかなければ、自分の乗ってる葉っぱをゆらして次の葉っぱをつかまえる。
知らなかった、そんなに筋肉モリモリだったとは。
まるで綱渡り、まるでブランコ乗り。
子供のころから身近に居るから、いろんな絵になって見ているから
知ってるつもりだったけど、ほんとはなーんも知らない
ご近所さまな でんでんむし
もっと長くみつめていたら、もっともっと知りあうことができるかも。
でも動きがあんまりゆっくりだから、ごそごそするとひっこんじゃうから、
私は待ちきれなくてすぐあきらめる。
だから私は魔法使いになったつもりで、ご近所さまのでんでんむしをガラスという石の塊に変えた。
彼らが音も立てずそこで暮らしているのをいつも覚えてるように。
今度の【ご近所さま】はぬっとりとがびがび、いろいろな成分を内包する石になりました。
宝石にたとえるならアゲートみたいな石。
でんでんむしの中には、キノコたちやクチナシの花、土壌の蟲たちの雨の気配のしっとりした世界があります。