【ヤムヤム果実】のおはなし(11/14)

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【ヤムヤム果実】みどり色の実
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ここに、12の色の12の形の【ヤムヤム果実】があります。
どれも熟れ熟れの果実です。
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これはいそのんからお届けするクリスマスまでのおはなし
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目が暗闇に慣れるにつれ、奇妙な人の姿はすこしづつはっきりと見え始め、そしてそのぼんやりとした光の出所が熱のでどころと同じなことがだんだんわかってきました。

奇妙な人は私の方をじっとみつめています。
逃げるべきか?襲うべきか?それとも受け入れるべきか迷っている。
そんな感じに見てとれます。

こんな時はあせってはだめ、その場に腰をおろし、その生き物との間の空気が和らぐのを待ちます。

安心したらきっと去っていくのだろうな、とにっこりすると、
おどろいたことに相手もにっこり。
その時とつぜん、相手のわくわくした好奇心がいそのんの心の中に流れ込んできました。

そしていそのんにはわかったのです。
「ついておいでよ」って言ってる?
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小さなLEDライトで後ろから照らしたところ
2022/04/19 9:47 Update

【ヤムヤム果実】のおはなし(10/14)

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【ヤムヤム果実】青緑色の実
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ここに、12の色の12の形の【ヤムヤム果実】があります。
どれも熟れ熟れの果実です。
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これはいそのんからお届けするクリスマスまでのおはなし
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ここは地上からずいぶん離れた地の底。
灯りを消すと、あたりは真っ暗。
灯りを消したばかりの目の中には懐中電灯の光の形のさらに黒い闇のようなものが見える気がします。

自分が怖いと思うと、感覚は鈍ります。
怖いという気持ちには好い事がない気がする。
いそのんはそんなふうに思います。

おしつぶされそうなほどの闇の中。
いそのんは穏やかな気持ちで、ゆっくりと目が慣れるのをまちました。

真の闇なら、目がなれても何も見えないはず、なのに、すこしづつ脳の中に緑や青や紫のつかみどころのない光がおどる気がします。
そしてその光の中に奇妙な姿の人影のようなものが、ちらりちらりと見えはじめました。
結局目にたよってしまいました。それにしても目ってすごいですね
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小さなLEDライトで後ろから照らしたところ
2022/04/19 9:47 Update

【ウゴウゴタケのコウイカさん】あばれ玉

【ウゴウゴタケのコウイカさん】あばれ玉

2021年制作の【ウゴウゴタケのコウイカさん】のあばれ玉です
限定として創った【ウゴウゴタケのコウイカさん】の全体像をはじめてカタチにした個体です。
この個体をあばれ玉としたのはエンペラに色をつけなかったためです。
また、粘菌の子実体をコブのように張り出させたのはこの個体だけの大きな特徴です。
このように最終的に採用した表現と異なる部分はありますが、ガラス作品としては最後まできっちりしあげてあります。
この作品の目指したテーマは【菌糸の森のコウイカさん】と共通していますが、こちらの作品では、コウイカさんの透明な身体の中には粘菌や虫草の子実体の他にキノコに寄生されてむくろになった「ウゴウゴ」(幼虫状の蟲)がおり、全体的にずっしりとしたおおぶりの作品にしあがっているのが大きな特徴です。
  
佐竹ナマリガラスと金沢の銀箔を使用
isoのサイン入り
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左斜め前からの全体像

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左斜め後ろからの全体像

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厚みのわかる真横

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ウゴウゴとウゴウゴタケと謎のワームと粘菌の子実体

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コウイカさんの目元

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オレンジ色の軸をもったウゴウゴタケの子実体

あばれ玉ですが、力作です。
みなさまはこの作品になにを感じられますでしょうか?
2022/04/19 9:49 Update

【ヤムヤム果実】のおはなし(9/14)

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【ヤムヤム果実】うす紫色の実
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ここに、12の色の12の形の【ヤムヤム果実】があります。
どれも熟れ熟れの果実です。
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これはいそのんからお届けするクリスマスまでのおはなし
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つぎつぎに現れる魔法のような景色を見たくて暗い穴をすすむうち、気づくとなんだかあたりが暖かい。
それに、なにかの気配がします。

自分の住む地上では、ふっと風上からとどいた香りで、「イノシシが居る?」とか「タヌキが居るかも?」とか推察できたりします。
見えてなくても飛ぶ羽音から「カメムシ?」「オオスズメバチ?」とか、わかったりします。

でもこんなに地中深く、気配だけではなにが居るのか全然推察できません。
懐中電灯であたりを照らしてみても、たくさんの石筍や鍾乳石がつくる影が光につられてうごきまわるばかりです。

気になりだすと、感じる気配はますます強くなり、暑さもどんどん強くなっていきます。

どうしたら、この気配の正体をみつけられるんだろう?と、いそのんは灯りを消してみることにしました。
目にたよってもダメだと思ったんですね。
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小さなLEDライトで後ろから照らしたところ
2022/04/19 9:49 Update

【ヤムヤム果実】のおはなし(8/14)

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【ヤムヤム果実】きみどり色の実
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ここに、12の色の12の形の【ヤムヤム果実】があります。
どれも熟れ熟れの果実です。
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これはいそのんからお届けするクリスマスまでのおはなし
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3つの真ん中の穴は、太くなったり細くなったり。
地の裂け目は、縦向きだったり横向きだったり。
両手両足を使って下っていきます。
足元をよく見ていると、最初は時々みつかったコウモリの糞が、下にいくほど見つからなくなっていきました。

あまり行くと、もどりが大変。
そう思っても、ひとつ狭いところをぬけるたびに、暗闇の先に光が届き、次の景色がもうすこしだけ、もうすこしだけ、とさそいをかけます。

地面の裂け目に落ちないように、とがった岩や低い天井で頭を打たないように、気をつけながら一生懸命進んでいるうちに、辺りの景色はあの時の洞窟のようになってきました。
壁や天井は懐中電灯でちかちか光り、波うったような真っ白な結晶がつらなって、つぎからつぎへと美しい姿を見せます。

それだけではありません。
なんだか少しづつ暑くなってきたような気がします。
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小さなLEDライトで後ろから照らしたところ
2022/04/19 9:50 Update
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