特別な【菌糸の森のコウイカさん】(5)

ウェブ上での作品発表にはいいところがいくつもあります。
たった1つだけの作品でもたくさんの方に見ていただけます。
もうひとつは、しっかりとゆっくりと解説ができます。
もうひとつは、これらの記事が記録として残せます。

というわけで今日は、このイカさんのこれまでとは違う部分の特徴を解説です。
みなさまには、ずっしりと手にもってひとつひとつ覗き込みながら、礒野のおしゃべりを聞くつもりで楽しんでいただければと思います。

さてこの特別なコウイカさん、エンペラの位置や足の伸ばし方が今までと微妙に違います。
その結果、今までの作品とやや全体のフォルムが変わりました。
私にとって、ホバリングするように同じ場所にとどまって泳ぐ時のイカさんの印象がこの感じ。
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横から見たところ

透明の胴部を縁取るエンペラ部分にも注目してください。
これには半透明の灰緑色がついていて、胴部の輪郭をふわっと見せています。

次に前方に突き出された8本の脚と身体にぴったりついた2本の触腕にもご注目。
白っぽい中からほんのり緑色がすけています。
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エンペラと脚、この緑色はウゴウゴの暮らす、樹々のある場所と関連づけるために選んだ色です。

そして光を反対側からあててみて見ると、
脚の間のさらに奥から水色の光が漏れてきます。
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さて今回のイカさんの大きな特徴はやはり「ウゴウゴタケ」
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ところでこのウゴウゴ、朽ちた様子は別にしても芋虫にしてはおかしな姿をしています。
頭が大きいですし、大顎があります。
複眼もあったりするし、ちょっと現実離れしています。
この子の発想のもとはカミキリやタマムシの幼虫。
倒木を切っていると中からうごうご出て来ちゃったりするのです。
これがなかなかにニッコリしてしまうほど素敵で異形な姿態なのです。

次に底面を見てください。
このコウイカさんの底面には漏斗があります。
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海の中ではこれをつかってジェット噴射のように水を吹き出しダッシュして、突然姿を消すこともあるのです。
そんな時、あとに残されるのはスミでできた影武者だったりします。
このスミも漏斗から吐き出されるようです。
今までなんども、海中でお目にかかりました。
時にはイカの姿を見つけることなく、あとに残されたスミだけ見つけることも。

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次回はもうひとつのお楽しみを紹介します。
今回の2Hに登場する【菌糸の森のコウイカさん】
これまでの作品を踏襲する個体です。

この2匹は同じテーマで、共通部分も多いのですが
生で見ると、全く別物の作品

明日18日はオークションエントリーの最終日。
イカさん2匹と、他の作家さんの渾身の作品も深夜12時までに、出そろいます。
明日はこちらをお楽しみください。
2021/09/17 11:35 Update
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