イソネルペトンの卵塊

化硝研究所からやってきた第6の謎の化石は、とても難解なものでした。

難しいというのはとても面白いことでもあります。
アンモ所長に提出した礒野の答えをみなさまにもご報告します。
sen506.jpg
これは、脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵かいではないかと思われます。
イソネルぺトンは、UF003で復元した両生類です
sen506.jpg
今からお見せするのは、ガラスで復元した卵塊の様子です。

ke23_06_21c.jpg
外側の卵殻を復元したものです

ke23_06_21g.jpg
ここにある表面のブツブツは、硬い殻と別の表皮の薄皮が盛り上がったもので、クッションの役割と景色にとけ込む保護色の役割をもっています。

ke23_06_21d.jpg
反対面は卵殻を除いて、内部が見える状態の復元です。

ke23_06_21f.jpg
丈夫な殻の内部には、すでに幼体のかたちにまで成長した赤ちゃんが3匹見えます。
幼体には赤いエラができはじめています。

ke23_06_21e.jpg
赤ちゃんのまわりには寒天状の物質ともやもやしたものがみてとれます。

ke23_06_21b.jpg
長端の一方についたカギ状の突起は、卵塊が水流に流されないようにする為のものです。
これを水中の植物などにひっかけ、固着させて安定させていました。

ke23_06_21j.jpg
コチラが復元のもとになった化石です。
矢印の先にある小さな丸い断面が、この突起の存在を示唆しています。

今回復元を担当したこの卵塊の卵殻は、化石として形を残すほど丈夫なものだったと思われます。
そのことから時によっては過酷すぎる時期を、この卵塊のままで休眠することによって乗り越えたこともあったかとおもわれます。

これがこの生物のペルム紀の大絶滅を乗り越えてギャプス紀でその繁栄を謳歌することになった理由のひとつではないでしょうか。

ke23_06_21a.jpg
(復元モデルとして、展示スタンドにセットした状態)

sen506.jpg
このガラスによる復元モデルは今月(6/22)に1点、来月1点、グラス2Hオークションで販売いたします。
このオークションは終了しました

sen506.jpg
参考までに以前復元したイソネルペトンの成体についての情報をここに付記します。

化硝研究所第三の謎の化石の復元モデル
ke23_06_21h.jpg
脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン)

ke23_06_21i.jpg
水場と陸の間に生息
。
水の流れが強い所で、尻尾を海草などに絡みつけ大口を開けて食べ物が入って来るのを待っている。

目の部分は、水圧に耐えられるように円盤状に配置された骨がある。

尻尾は特徴的で、甲冑のように硬く保護された外皮に包まれながらも自由に曲げ伸ばしができるようになっている。
2023/07/18 0:04 Update
 « Newer   Home   Older »