いそのん劇場【化硝研究所 未確認化石No.006を復元す】その2

3人の博士の考察と復元の記録
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Ichthyopompa checora (イクチオポンパ・チェコラ)
脊索動物門/ 肉鰭綱

イクチオポンパは、四肢動物の祖先、水辺で生活していた肉鰭類です。
四肢動物の祖先となった魚類らしく、頭部が現存の海の魚より上下につぶれています。
これは海を泳ぐ機能から陸上を移動する機能へと体型を変化させていったからでしょう。
とはいえ陸上ではまだまだ生活できないイクチオポンパには小さなヒレがあります。
ヒレの部分の関節を使って、水底にピタッと張り付いて水面から顔をだしたり、腕立て...どころか、頭に重心を移したり尾びれに重心を移したりすることもでき、浅瀬で自由に動き回ることができたようです。

学名のIchthyopompa checora (イクチオポンパ チェコラ)は、進化させた胸鰭で浅瀬を這う姿を「腕立て伏せ」にたとえたものです。。

学名の意味: ichthys(魚)+ pompa(腕立て伏せ)
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(付属する標本ラベル)


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Tetrapelta sphaera(テトラペルタ・スファエラ)
軟体動物門/多板綱/詳細不明

テトラペルタ・スファエラはギャプス紀の浅海に生息していた多板綱の軟体動物。
ヒザラガイ類に近縁の生物で、丸みのある4枚の殻と比較的発達した一対の眼を持っていたようです。
体を丸めてダンゴムシのような方法で身を守るという貝類としては珍しい防御方法を持っていました(化石は防御態勢のもの)。
殻は厚みがありますがコウイカの甲のような軽量構造になっていて、普段は何体部を広げて海底付近を活発に遊泳していたと思われます。
防御態勢時からは想像できないほど大きな何体部をもっているように見えますが、これは体内の空隙に吸い込んだ海水を満たすことによって体型を維持する水風船のような仕組みを持っていたためです。

学名の意味:tetra(4つの)+ pelta(楯)+ sphaera(球体)
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(付属する標本ラベル)


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Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵塊
脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種

イソネルペトンは水場と陸の間に生息する生物です。
生態としては特に水の流れが強いところにいることが多く、尻尾を海草などに絡みつけて獲物が流れてくるのを大口をあけて待つというものでした。
産卵もそのような場所で行われるため、卵殻は丈夫で長端の一方についたカギ状の突起を水中の植物などにひっかけて、流されないようにしていました。
表面のぶつぶつは表皮の薄皮が盛り上がったもので、水の流れであちらこちらに叩きつけられても耐えうるクッションの役割と、景色にとけ込む迷彩的な役割をもっています。

卵の中の胚には、すでにこの種の特徴である巻いた尻尾とエラがみられます。
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(付属する標本ラベル)

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この3種4作品は今月のグラス2Hオークション(7/22土開催)に出品されます。
少しづつ明らかになるギャプス紀の生物モデルを所蔵していただける方をお待ちします。

2023/08/20 17:32 Update

いそのん劇場【化硝研究所 未確認化石No.006を復元す】その1

今月9日にやまのパンダ屋で開催された毎月一日だけの礒野お手製の展覧会「いそのん劇場」の様子をご紹介します。
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ごあいさつ

【化硝研究所 未確認化石No.006を復元す】

本日のいそのん劇場は化硝研究所から提示されたギャプス紀の化石「未確認化石N0.006」の謎を
解くというものです。
謎解きには、沖縄の増永博士、流浪の民のちぇこら博士、そしてこの場のヌシの礒野博士
この3人に博士が取り組みました。

3人の導き出した答えは三人三様。
そして3人ともが、化石からのヒントがすくなすぎる!と同意見。
それぞれが化石のどこをどう見て、それぞれの答えにたどりついたか?
今回はそのあたりを意識しながら見ていただくとおもしろいと思います。

さて、ご存知無い方に少し説明を。
ギャプス紀とは、古生代最後のペルム紀と中生代最初の三畳紀の間、大量絶滅の時代に
幻のように出現した(?)という地質年代です。

こうしてひとつひとつギャプス紀の謎を解く先には、地球の歴史としてこれまで誰にも知られてこなかった世界があらわれてくるにちがいありません。

それではみなさま、本日もいそのん劇場へよくおこしくださいました。
ゆっくりじっくり、それぞれの妄想とともに、3人の博士の復元をお楽しみくださいませ。

2023年7月 礒野昭子
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2023/07/17 23:58 Update

【どぉん!】販売します

【オオサンショウウオ どぉん!】98gを
今月のグラス2Hオークションに出品します!
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というわけで、これからグラス2Hオークション(7月22日土曜日)までの間、少しつづ公開する写真やイラストでの紹介をお楽しみにしてくださいませ。

紹介はここ、まずは「けろけろ。」で。
いそのん劇場の化硝研のご紹介のあと、数回にわけて連載です!



2023/08/20 17:32 Update

7月9日はパンダ屋さん開催の日です

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今週末の7月9日(日)は和歌山県海南市にある「やまのパンダ屋さん」の開催日です。

先月は、大雨で道が流れるという事件がありまして、パンダ屋さんはお休みになりましたけれど、今月は大丈夫です!
通常通り開催いたします。

ではさっそく今月の内容の一部をご紹介します。

いそのん劇場は、「化硝研究所 第6の謎を解く」です。
この化硝研の企画の時は、いそのん劇場はいそのんの作品だけでなく、増永博士とちぇこら博士の作品が展示されます。
すでにCo展(http://coten.wcs.jp/)で画像はみていただいているかと思いますが、
やはり実物は格別です。
いそのん劇場に入場は12時ごろから終日していただけます。

サバヲ劇場の今月の「だあれ?」、いそのんはフライングで見せてもらいましたよ〜。
目目目目目っと、目の印象がたまりません!のあの子たちが誕生しておりました。
こちらは11時半ごろ展示と販売があります。
詳しくは前日にサバヲのパンダ屋ブログでどうぞ。

5月にワークショップを開催したモラ手芸を、今月もやります。
ご希望の方はどんどんどうぞ。
参加は無料です。

ほかにも、いろいろあったりしますが、それはそのときのお楽しみ。


それではみなさま、第二日曜日、やまのパンダ屋さんでおまちしています。
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やまのパンダ屋さんへのご来訪には前日までに事前連絡をいただいております。
注:お越しの方は必ず事前にご連絡ください。

ご連絡方法や詳しいご案内はコチラ
「やまのパンダ屋さんのご案内」・・・http://www.iso.cx/kero/0672

オープンは11時、クローズは17時。

海南駅までのお迎えは
10:35 と 14:05 です。
2023/10/05 10:30 Update

イソネルペトンの卵塊

化硝研究所からやってきた第6の謎の化石は、とても難解なものでした。

難しいというのはとても面白いことでもあります。
アンモ所長に提出した礒野の答えをみなさまにもご報告します。
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これは、脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン) の卵かいではないかと思われます。
イソネルぺトンは、UF003で復元した両生類です
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今からお見せするのは、ガラスで復元した卵塊の様子です。

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外側の卵殻を復元したものです

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ここにある表面のブツブツは、硬い殻と別の表皮の薄皮が盛り上がったもので、クッションの役割と景色にとけ込む保護色の役割をもっています。

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反対面は卵殻を除いて、内部が見える状態の復元です。

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丈夫な殻の内部には、すでに幼体のかたちにまで成長した赤ちゃんが3匹見えます。
幼体には赤いエラができはじめています。

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赤ちゃんのまわりには寒天状の物質ともやもやしたものがみてとれます。

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長端の一方についたカギ状の突起は、卵塊が水流に流されないようにする為のものです。
これを水中の植物などにひっかけ、固着させて安定させていました。

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コチラが復元のもとになった化石です。
矢印の先にある小さな丸い断面が、この突起の存在を示唆しています。

今回復元を担当したこの卵塊の卵殻は、化石として形を残すほど丈夫なものだったと思われます。
そのことから時によっては過酷すぎる時期を、この卵塊のままで休眠することによって乗り越えたこともあったかとおもわれます。

これがこの生物のペルム紀の大絶滅を乗り越えてギャプス紀でその繁栄を謳歌することになった理由のひとつではないでしょうか。

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(復元モデルとして、展示スタンドにセットした状態)

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このガラスによる復元モデルは今月(6/22)に1点、来月1点、グラス2Hオークションで販売いたします。
このオークションは終了しました

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参考までに以前復元したイソネルペトンの成体についての情報をここに付記します。

化硝研究所第三の謎の化石の復元モデル
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脊椎動物門/ネクトリド目/所属不明種
Isonerpeton (イソネルぺトン)

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水場と陸の間に生息
。
水の流れが強い所で、尻尾を海草などに絡みつけ大口を開けて食べ物が入って来るのを待っている。

目の部分は、水圧に耐えられるように円盤状に配置された骨がある。

尻尾は特徴的で、甲冑のように硬く保護された外皮に包まれながらも自由に曲げ伸ばしができるようになっている。
2023/07/18 0:04 Update
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